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株式会社Afinar(神奈川県横浜市)

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株式会社Afinar
(神奈川県横浜市)

【写真】森田さん、深堀さん Afinarは2017年(平成29年)に個人美容室を開設後、2020年(令和2年)に法人化。首都圏を中心に直営6店舗、その他2店舗の美容室経営などを営んでいる。従業員数は30名(2026年6月現在)。
今回は、代表取締役社長の森田拓樹さん、本部長の深堀洋介さんからお話を伺った。

早期離職を経営課題と捉え、柔軟なキャリアパスの整備と健康経営を推進した。

まず、健康経営に取り組むこととなった経緯と取組み内容についてお話を伺った。

早期離職を経営課題と捉え、健康経営に取組みはじめました 「当社の従業員は20代と30代がほとんどを占めており、産休中の女性も含めると男女比は4対6と女性が多く活躍する職場です。法人化の翌年から毎年4~7人の新卒採用を続けてきましたが、美容業界全体として新人の早期離職が常態化しており、1年目スタッフの離職率は他の業界と比べるととても高いです。私たち自身も、最初の4年間は厳しい状況にありました。」

「この現状を重大な経営課題と捉え、日々改善に向けた取り組みを模索していました。そのような中、日頃から相談に乗ってもらっている外部のコンサルタント会社から“健康経営優良法人”の認定取得をサポートする案内を受けました。これを一つの大きな契機として、健康経営という枠組みを本格的に会社へ取り入れ、制度化していく方針を固めました。」

健康経営に取組みを始める中でストレスチェックを知り、早速導入しました 「2024年から健康経営の取組みを始める中で、申請項目の中に“ストレスチェックの実施”があることを初めて知り、その年に早速導入しました。また、長く働き続けられる環境づくりの一環として、子育てなどのライフイベントを迎えても給与を大きく減らさずに美容師を続けられるよう、時短正社員やパート社員、業務委託など、その時の個人の状況に合わせて柔軟なキャリアパスが選べる制度を構築しました。ここには、一旦現場の美容師から離れ、本社の事務職へ配置転換できる仕組みも盛り込んでいます。」

全社イベントや社内コンテストなどを通じて、組織効力感を高めています 「さらに、全社イベントやフットサル大会、社内コンテストなどを通じて、上下関係や部署間の風通しを良くし、孤立感を無くすとともにコミュニケーションの活性化を積極的に図ってきました。これら組織効力感を高める一連の活動が実を結び、2025年に“健康経営優良法人(中小規模法人)”の認定を受けることができました。」

ストレスチェックや相談窓口は外部機関を活用し、従業員の匿名性と安心感を確保した。

次に、ストレスチェックの取組みについてお話を伺った。

ストレスチェックは従業員が安心して回答できるよう外部委託しました 「ストレスチェックについては、従業員が安心して回答できるよう、外部委託にて実施しています。利用している外部機関のサービスには、実施者や実施事務従事者も含まれているため、会社側が個人の結果を知ることはない仕組みになっています。」

「回答方式は、職業性ストレス簡易調査票の57項目を用いたWEB回答です。回答後、高ストレス者で医師による面接指導が必要と判定された従業員には、外部機関の医師との面接指導の案内が直接届きます。そのため、従業員本人から医師の面接指導の申し出があって、初めて会社側が状況を把握することになります。実施においては、該当する申し出はありませんでした。また、集団分析に関しても、店舗別や部門別で分けると人数が少なく10名以下になってしまい、個人の特定につながるリスクがあるため、実施を見送る判断をしました。」

ストレスチェック業者のサービスに含まれている社外相談窓口やメンタルヘルスセミナー動画を紹介しています 「また、ストレスチェック外部機関のパッケージサービスの中に、社外相談窓口としてLINEによるカウンセリングサービスが含まれていました。こちらもストレスチェックの実施と併せて従業員に案内を行いました。会社側に相談内容が伝わることがないため、気軽に相談できる環境ができていると思います。さらに、同サービスのサイト内には、メンタルヘルスを含む様々な健康セミナーの動画やコンテンツが掲載されており、従業員がいつでも自由に見て学べるような環境を提供しています。」

経営層や店長による丁寧な個人面談とラインによるケアで、美容業界の常識を変える環境づくりを実施している。

最後に、個人面談の実施など職場環境改善の様々な取組みについてお話を伺いました。

全従業員に役員による個人面談を定期的に実施しています 「社外相談窓口として2024年は外部機関のサービスを活用しましたが、2025年からは“社内で日頃から相談しやすい仕組みづくり”にさらに重点を置くことにしました。具体的には、全従業員に対して、私(森田さん)や本部長(深堀さん)らによる個人面談を定期的に実施し、現場の生の声を直接ヒアリングしています。」

社長自ら意識的に多く従業員に声がけすることで、相談しやすい関係性を心がけています 「キャリアのフェーズに合わせて研修内容や面談の回数は変わります。当社では、勤務時間内に実施する“アカデミー制度(社内研修)”を設けており、技術面の向上だけでなく、同期入社の従業員間の横のつながりを生み出し、孤立の防止やコミュニケーションの活性化につなげています。新卒採用1年目の研修となる最初の3ヶ月間は週3回のペースで実施し、その合間にも都度、個人面談を行っています。特に私(森田さん)からは意識的に多く声をかけ、どんなことでも話を聴く姿勢を示すことで、何かあってもなくても、いつでも相談してもらえる関係性を心がけています。その後は研修回数こそ少なくなりますが、2年目以降も定期的に研修を行い、そこでも必ず声掛けを続けています。」

店舗においては現場の店長に、定期的な面談を義務づけています 「新入社員が美容院の店舗勤務になった後は、店長が店舗スタッフに対して、定期的に個人面談や声がけを行うことをルール化し、これを店長の人事評価項目にも組み込んでいます。面談の中で気になるスタッフがいたり、店舗だけでは解決できない問題があれば、すぐに本部へ報告させ、早めに介入・対応する体制を敷いています。店舗スタッフには当社の正社員だけでなく、業務委託やフリーランスで働く美容師の方も含まれています。雇用形態に関わらず、不安や悩みがあればすぐに話せる体制をつくることで、店舗全体が一体となった組織文化づくりにつながっています。私(森田さん)が店舗を巡回する際にも、スタッフの様子を直接聴くなどして状況の把握に努めています。小さい会社ですので、今は私が会社全体のメンター的な立場にいる感覚ですね。」

定期的に匿名アンケートを実施し、忌憚の無い意見を率直に言える環境をつくっています 「その他にも、定期的に匿名アンケートを実施し、会社への要望や実際の取組みに関して自由に意見が言えるようにしています。新たなレクリエーションの提案から、中には辛辣な意見が出ることもありますが、忌憚の無い意見を率直に言える環境づくりが、従業員にとっては、美容室運営を“自分ごと”として捉える意識へとつながってきていると、個人面談などの場で深く実感しています。」

直近では人間関係の問題などが原因による新入社員の離職は、ほとんど無くなりました 「美容師という仕事は、美容室の中での上司や同僚との人間関係だけでなく、お客様とのトラブルによるストレスも抱えやすい職業です。1対1での接客業務のため、何気ない会話の中でお客様から言われた言葉で傷つくこともあれば、仕上がりが思っていたのと違うとお叱りを受けることもあります。無形のものを提供するサービスゆえに、訴えや責任がすべて美容師個人に重くのしかかってしまうのです。こうしたネガティブな感情が心の中に溜まってストレスフルになることで、美容師自身がメンタルヘルス不調に陥ったり、同僚に怒りや不満をぶつけてしまったりする事態にもつながります。以前は、そうしたことが原因で精神的に追い詰められ、辞めていく従業員が多くいました。それらを防ぐために、先述した通り、会社として最大限できるサポートを徹底しています。その結果、直近3年間の新入社員の離職において、人間関係の問題やメンタルヘルス不調が原因によるものは、ほとんど無くなりました。」

メンタルヘルス不調が疑われる従業員に対しては、社長自ら同行受診しています 「また、眠れないといった症状があり、メンタルヘルス不調が疑われる従業員に対しては、精神科への受診の必要性を本人にしっかりと説明し、本人が受診を希望した場合には、私(森田さん)が同行したことが何回かありました。早めに受診し治療を開始できたこともあり、これまで同行した者は皆、今も元気に働いてくれています。」

「美容業界においては、40歳を前に多くが美容師を辞めて他の業界に転職していると聞いています。主な理由は先述した人間関係の問題と、もう一つは収入の不安定さによるものです。私たちは、その『美容師は稼げない』というネガティブなイメージを本気で変えていきたいと考えています。そのために、働きがいと成果が両立する環境を整え、長く健康に働けるように健康経営を実現してきました。当社の取組みをもとに、美容業界全体でまとまったプラットフォームをつくることで、この目標は必ず実現できると考えています。これまでの美容業界の古い常識を塗り替え、次世代にとって希望があり、社会的影響力を持つ企業へと成長していくことを目指しています。」

【取材協力】株式会社Afinar
(2026年7月掲載)